カルシウムの栄養吸収はビタミンDが重要
1.栄養素の特徴
「ビタミン」は、栄養分の吸収や排泄、循環といった身体の生理機能を調節して、からだを元気にする栄養素。
その種類は約30種。
ビタミン自体がエネルギー源となることはありませんが、
さまざまな栄養素の働きを促進します。
ビタミンは、水に溶けやすい水溶性と油に溶けやすい脂溶性に分類されます。
水溶性ビタミンは、摂り過ぎても尿として体外に排出されるため、副作用は殆ど起こりません。
油脂に溶ける脂溶性は、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの4つ。
これらは排せつされずに体内に蓄積されるため、
摂り過ぎると高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化などの原因になることもあります。
ビタミンの中でも、カルシウムと深い関係があるのがビタミンD。
主に、次のような働きがあります。
■ビタミンDの主な働き
- カルシウムとリン(骨や歯を作る。エネルギーや脂質の代謝にも)の吸収を促進する
- 丈夫な骨を作る
このビタミンDは不足すると、
子どもでは骨の発達異常である「くる病」に、
成人では骨粗しょう症や骨軟化症を引き起こすことが知られています。
ビタミンDが不足すると丈夫な骨が形成されずに
骨折や体の発達に大きな阻害が現れてしまいます。
丈夫な骨づくりにはカルシウムが必要ですが、
それを効率よく吸収するためにビタミンDは欠かせない栄養素なのです。
■ビタミンDを摂る方法
ビタミンDを摂取するには、2つの方法があります。
「食べ物から摂る方法」と、
「日光を浴びて紫外線にあたることでビタミンDを作る方法」です。
では、ビタミンDは1日にどのくらい必要なのでしょうか?
2.普段の食事には・・・
1日に必要なビタミンDの摂取量は、成人で5.5μg。
また、許容上限量は100μgです。
普段の食事でどのくらい摂れているのかチェックしてみましょう。
たとえば、一般的な夕食メニューに含まれるビタミンDは、次のようになります。
(ビタミンD量の参考URL:http://kcal-control.com/)
【夕食の一例】
この1食で摂れるビタミンDの量は、27.5μg。
今回は、1品でも十分な量が摂れる塩さけを中心に、
卵、きのこ、たらこなど、ビタミンDが多く含まれている食材をたくさん取り入れたので、
1日に必要な5.5μgはらくらくクリアしています。
とはいえ、毎日魚料理というわけにもいきません。
これが肉料理(牛肉・豚肉・鶏肉)になるとほぼ0μgとなってしまい、
主菜ではほとんど摂れなくなってしまいます。
こんなときは、副菜を工夫しながら摂っていきましょう。
次に、ビタミンDを効率よく摂る方法について紹介します。
3.ビタミンDが含まれている食品の例
ビタミンDを豊富に含む食品は比較的限られていて、魚介類、卵類、きのこ類などがあります。
特に、魚介類には、しらす干し100g中に46μg、塩さけ100g中に23μgとたっぷり含まれています。
食材100g当たりのビタミンDの含有量(単位:μg)
(ビタミンD量の参考URL:http://www.eiyoukeisan.com/)
4.こんなにも違う!食材比較
食材によって含まれるビタミンDの量に差があるので、
できるだけビタミンDが多く含まれる食材を積極的に摂りたいですよね。
たとえば、同じ魚でも含まれるビタミンDは
塩さけ23μg、さんま19μgに対してさば11μg、たら0μgとこんなにも違いがあります。
例:ビタミンDの場合
食材100g当たりのビタミンDの含有量(単位:μg)
(ビタミンD量の参考URL:http://www.eiyoukeisan.com/)
5.今夜からビタミンDを摂りたいあなたに
近年では肉中心の食事が多く、ビタミンDは不足しがち。
そんなときこそ、ビタミンDが多く含まれる副菜で食卓を彩りましょう。
たとえば、こんな1品を追加してみてはいかがでしょうか?
食材100g当たりのビタミンDの含有量(単位:μg)
(ビタミンD量の参考URL:http://www.eiyoukeisan.com/)
カルシウムだけではなく、ビタミンDも適量に摂って、
骨粗しょう症などにならない丈夫な骨を作っていきましょう。