なぜ、海軍ではカレーが食べられているのか?

なぜ、海軍ではカレーが食べられているのか?

休日のお出かけや休暇をとって旅行をすると気になるのがご当地グルメ。

あなたも一度は口にしたことがあると思います。
もしかしたら、旅先の名産品にハマってよく取り寄せているかもしれませんね。

そんなご当地グルメの中で健康と深い関わりをもつのが横須賀名物の海軍カレーです。
神奈川県横須賀市には米軍の海軍基地があり、海軍関係のイベントが多く開催されています。

そのイベントに参加した方の多くが海軍カレーをお土産として購入すると言われています。
でも、海軍とカレーライスは一体どんな関係があるのでしょうか。

実を言うと、海軍とカレーには切っても切れない縁があったのです。
特に栄養の観点から重宝された海軍カレーの秘密に迫ってみたいと思います。

 

1、日露戦争においての戦死者の大半は…軍医・森鴎外の功罪?

突然ですが、あなたは脚気(かっけ)という病気をご存知でしょうか。簡単に言うと、ビタミンB1が欠乏することで心不全を起こしたり、末梢神経に障害をきたす病気です。

 

かっけ

 

なぜ、脚気を話題にするのかというと、明治以降、大日本帝国海軍の軍人は脚気によって死亡することが非常に多かったからです。
特に、日露戦争では約3万人の隊員が脚気で死亡したと言われています。

これは、歴史を振り返るとわかるのですが、当時の日本人はビタミンB1を含まない精白米と主食とし、十分な副食を摂らなかったため、脚気を引き起こす人が多かったそうです。
そのため、不治の病と言われた結核と並んで、二大国民病と言われていました。

ただ、当時は米食中心の食事が脚気を引き起こすとか、ビタミンの存在が未発見だったため、脚気の予防は簡単ではありませんでした。
しかしながら、文学者として有名な森鴎外は陸軍軍医総監として、不確かながらも良いと言われていた白米を麦飯に変えるなど、脚気の改善に向けた対策に反対の態度をとっていたそうです。
なぜなら、彼は脚気の原因が細菌だと考えていたという説があるからです。
最も、そのあたりは様々な説があるため、一概に森鴎外の功罪とは言えないのが実情です。

そんな中で、脚気の原因が白米中心の偏った食事であることを海軍の軍医・高木兼寛が突き止めカレーライスを推奨したのです。
これにより、海軍横須賀鎮守府がカレーライスを採用して、1908年の海軍割烹術参考書で本格的に普及させたのが海軍カレー発祥です。

 

2、なぜ、カレー・肉じゃがだったのか?

脚気の原因を突き止めた高木兼寛ですが、なぜその対策として提供されたのがカレーライスだったのでしょうか。

彼が食事において重視したのはタンパク質と炭水化物の割合です。
当時はまだビタミンが発見されていませんでしたが、白米中心の偏った食事に疑問を持ったことでその改善への道が開かれたと言っても過言ではないでしょう。

それで、高木兼寛は当時、同盟関係にあったイギリスの海軍の食事を参考にして、兵士に栄養をつけさせる目的で、肉や野菜により栄養のバランスが良くなるカレーライスが海軍の代表食となったのです。

また、肉じゃがもカレーライスと同じ素材を利用することから物資の補給に都合が良いという意味で軍食として定着しました。

ちなみに、現在の海軍カレーは海上自衛隊カレーと呼ばれているのですが、各艦隊ごとにカレーの種類も異なり、数多くのカレーが食べられているようです。
詳しくは海上自衛隊レシピというサイトを見ると「えっ!こんなにたくさんあるの?」と驚くかもしれません。

 

3、ビタミンB1の働き

さて、海軍カレーの誕生秘話からもわかるように、栄養バランスの良い食事が脚気をはじめとする病気の予防となることは明らかですよね。
ですが、ビタミンの存在が発見されて以降、脚気はビタミンB1の欠乏に起こることが医学的に証明されています。

では一体、ビタミンB1はどんなものなのでしょうか。
ビタミンには脂溶性と水溶性があり、ビタミンB1は水溶性です。

気になるその役割はというと、糖質がエネルギーを生み出すときや皮膚や粘膜を正常な状態に保つことを助ける働きをしています。

ビタミンB1は主に穀類の胚芽、豚肉、豆類に含まれます。特に豚肉はビタミンB1が豊富です。

 

カレー かっけ 予防

 

それで、私たち日本人は精白米を主食として食べています。
食の欧米化が進んだとはいえ、まだまだお米は主食と言えます。
ところが、この精白米はビタミンB1が豊富であるヌカを除去してしまっているんですね。
洗い流すとビタミンB1が流れ出す場合があるのに、精白の段階で取り除いてしまったら、主食からビタミンB1を摂ることは難しい状況です。

ですから、精白前のはい芽米や玄米によってビタミンB1を摂ることもひとつの方法です。
これがビタミンB1の全体像です。
つまり、ビタミンB1の不足は糖質がエネルギーに変換されづらくなるため、食欲がなくなったり、疲れやすくなったりします。
そして、それがエスカレートすると脚気につながるというわけです。

このように、ビタミンB1は私たちの身体の機能を正常に働かせるための潤滑油なのです。
ビタミンB1を不足なく摂取できる安定した食生活で毎日の健康を維持してくださいね。
また、せっかくの機会ですから、今夜のメニューはカレーライスや肉じゃがにするのも良いかもしれません。

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