骨転移の痛みはどれくらい痛いの?
癌の骨転移とは、乳房や肺などの原発巣にできたがん細胞が血液の流れに沿って、
身体の他の部位にある骨に飛び火し(転移し)新たな病巣を作る状態を意味します。
このような骨の病変を続発性骨腫瘍と呼び、
骨自体から発生した腫瘍とは異なる特徴が見られるので区別して扱われます。
症状
癌の骨転移に伴う症状としては、次のとおりです。
- 骨髄へのがん細胞浸潤による白血病化
- 骨のカルシウムが血液に溶け出すことにより、深刻な循環不全の原因となる高カルシウム血症など
- 転移による痛み、麻痺、骨折
最も患者さんを悩ませるのは、骨転移による痛みの症状と言えるでしょう。
それではどうして骨転移は痛みを引き起こすのでしょうか。
転移の痛み
骨転移によりがん細胞が病巣を作り、がん細胞の増殖を始めます。
そして、次第に病巣周辺の骨組織を破壊していきます。
- 初めのうちは少々の違和感を覚える程度ですが、
次第に明らかな痛みとなり、痛みの度合いが強くなっていきます。
→僅かな動作でも痛みを感じるようになります。 - さらに進むと安静時にも強い痛みを感じるようになり、睡眠もままならず、
身体的、精神的負担をもたらします。
→同時に骨細胞の破壊も進行し、わずかの負荷で骨折を引き起こすこともあります。
このような痛みがでるメカニズムは、主にがん細胞の増殖によるもですが、
骨転移が生じた部位で破骨細胞が活性化していることも大いに関与しています。
痛みの軽減
正常な骨細胞では古い骨組織は除去され、新たな骨組織に入れ替わるサイクルを繰り返します。
そうすることで骨組織の健全性を維持しています。
ところが癌の骨転移が生じた部位では、
骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きが異常に活性化しています。
そのため骨転移の痛みのケアにおいては、この異常な破骨細胞をケアする薬剤(ビスフォス
フォネート製剤)が使用されることがあります。
~最後に~
癌、骨転移、痛みの対策を考える上で大事なことは、我慢しないことです。
癌は進行性の病気とはいえ進行には個人差があります。
注意すべきは安静にしているにも関わらず痛みが強くなる傾向がある、あるいは週単位や月単位で
生じる痛みは要注意です。骨転移の診断を受けたことがない方は、出来るだけ早く主治医の診察を受けることが大事です。
もしすぐに主治医に診察を受けることができなければ、
近所の整形外科に受診するのも一つの方法です。
痛みの段階で受診すれば、骨折などのリスクを減らせるばかりでなく、
癌、骨転移、痛みの有効な対策も受けられますので相談してください。