コラーゲンを含む骨がコンクリートよりも丈夫な秘密
年齢とともにもろくなると言われている骨。
「骨を丈夫にしよう」と思ったら、あなたはまず何をしますか?
「骨を丈夫にするにはカルシウム! じゃあ、毎日牛乳をたくさん飲もう!」
と思う方もいるでしょう。
では、牛乳を飲んでカルシウムをたくさん摂れば、本当に骨は丈夫になるのでしょうか?
[1]「骨を丈夫にするには牛乳だけを飲めばよい?」
「え? なぜ??」と思いますよね。
だって牛乳は学校の給食でも飲まれているし、テレビや健康に関する情報をみても、
「牛乳を毎日飲みましょう」と言われていますから。
牛乳を飲むのは、カルシウムのためではなかったの?
もちろん、牛乳を飲むこと自体は良いことです。
でも、「骨を丈夫にするには牛乳を飲めば、それでよい」というところに大きな誤解があったのです。
では、なぜ牛乳を飲んでカルシウムを摂るだけではダメなのか、
まずは骨の構成から見ていきましょう。
[2]「骨=カルシウム」の図式の誤解
骨と言えばカルシウム。
このように「骨=カルシウム」と思っている方は多いでしょう。
しかし、「骨=カルシウム」という図式は誤解なんです!
実は、骨はカルシウムだけで構成されているわけではありません。
骨は、タイプの異なる2つの成分で構成されています。
・リン酸カルシウム
・コラーゲン
この「リン酸カルシウム」と「コラーゲン」、
それぞれどのような役割で骨を形成しているのか見てみましょう。
◆「リン酸カルシウム」と「コラーゲン」の役割
リン酸カルシウムは、骨の「強度と形」を与える役割があります。
卵の殻をイメージしてみてください。
いわゆる「頑丈さ」です。
コラーゲンは、骨に「柔軟性と耐久性」をもたらす役割があります。
コラーゲンだけだと、ブヨブヨしているゴムみたいなもの。
こちらは「柔軟さ」です。
もし、骨がリン酸カルシウムだけだとしたら…。
卵に衝撃を与えると、パキッと割れてしまいますよね? それと同じです。
リン酸カルシウムだけの骨だと、衝撃を与えるとパキッとすぐに折れてしまいます。
では、骨がコラーゲンのみだとしたらどうでしょうか?
コラーゲンは、やわらかいゴムのようなもの。
もし骨がゴムだったとしたら…グニャリと曲がってしまいますよね。
そんな骨じゃ、おそらく両足で立つこともままならないでしょう。
このように、リン酸カルシウムとコラーゲンは、どちらか片方だけでは全く役に立ちません。
骨は「頑丈さ」と「柔軟さ」の両方の役割があってこそ成り立つものなのです。
◆骨とコンクリートの強度の比較
では、「頑丈さ」と「柔軟さ」を両方兼ね備えた骨は、いったいどれくらい頑丈なのでしょうか?
あるテレビ番組で、骨とコンクリートの強度を比べる実験が行われました。
骨(シカの大腿骨もも部分の骨)とコンクリートに、少しずつ負荷(圧力)を与えていくというものです。
コンクリートに負荷をかけていくと、120kgをかけたところで、もろくも割れてしまいました。
一方、骨に負荷をかけても変化がありません。
しかも、コンクリートが割れた120kgを超えても、まだ変化しなかったのです。
約400kgの負荷を与えた頃からようやく骨にヒビが入り始め、やがて割れました。
骨が割れたときの負荷は、実に約450kg!
なんと、コンクリートの4倍弱です。
驚きですよね!
なぜ、このようになるのでしょうか?
それは、弾力のあるコラーゲンがクッションのような働きをして、圧力を逃しているから。
つまり、骨は弾力性を備えることで大きな負荷でも、ある程度耐えられるようになるのです。
でも、コンクリートには、クッションの働きをする柔軟性のあるものが含まれていません。
頑丈さだけでは、頑丈さを越える力が加えられたときに、崩れてしまうのです。
柔らかいもの(=コラーゲン)が含まれているから、
身体の一部がコンクリートよりも丈夫だなんて、不思議ですよね!
[3]コラーゲンが体内でできるしくみ
このように、コラーゲンは骨になくてはならない成分であることが分かりました。
しかしコラーゲンを食べても、そのままコラーゲンにはなりません。
コラーゲンは、次のようなしくみで作られています。
1.コラーゲン成分が体内に入る
2.体内に入ったコラーゲンがアミノ酸に分解される
3.分解されたアミノ酸が必要に応じて体内コラーゲンに再合成される
パディナ・ジャパン「パディナ」パンフレットより
パディナとは→こちら
[4]体内コラーゲンを作る力をつけるために
コラーゲンが不足しないようにするには、「体内コラーゲンを作る力」をつける必要があります。
それには、2つのポイントがあります。
[ポイント1]良質なタンパク質をとりながら栄養バランスのある食事を
体内でコラーゲンを作る力をつけるには、通常のタンパク質ではなく、「良質なタンパク質」を体内にとりこむ必要があります。
良質なタンパク質をとるには、体内で合成できない必須アミノ酸の量をもとに計算された「アミノ酸スコア」の数値が高い食品をとらなくてはなりません。
このアミノ酸スコアの数値が、100に近いものほど良質のたんぱく質になります。
代表的な食品は、卵・牛乳・大豆・鮭・豚ロースなどです。
ですが、アミノ酸ばかりに偏る食事も骨によくありません。
たとえば、アミノ酸食品ばかり食べると、カロリー不足になり、タンパク質からエネルギーが消費されるように。
結果的には、こんな状態になってしまいます。
カロリー不足 → タンパク質からエネルギーに転換 → コラーゲンを作る力が衰える
これでは、本末転倒ですよね。
どんな栄養素をとるにしても、バランスの良い食事が大切なのは、耳にタコができるくらい聞いていらっしゃると思います。
栄養素のいずれかが欠けたり、過剰すぎると、身体に異常が現れてくるようになるのです。
まさに医食同源。
「身体に異常が!」となる前に、普段から気をつけていきたいものです。
アミノ酸スコアをクリアして、バランス良く栄養がとれるメニューの例を紹介します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
朝食:全粒粉のパン・バター・ゆで卵・豆乳か牛乳・キャベツサラダ・バナナ
昼食:白米・味噌汁・高野豆腐・鮭の塩焼き・小松菜のおひたし
間食:ミックスナッツ
夕食:白米・味噌汁・豚の生姜焼き・チーズ入りポテトサラダ・冷奴・ひじきの煮物
[ポイント2]適度な運動
適度な運動は、骨の細胞の動きを活発にします。
また、栄養吸収や新陳代謝を促します。
ウォーキングや体操など無理のない運動を続けて行うと、コラーゲンを作る力をつけることができます。
運動の習慣がない方は、まずは次のようなことから始めてみましょう。
・毎朝、ラジオ体操をする
・上下1フロアへの移動であればエレベーターではなく階段を使う
・近所への移動は車を使わずにできるだけ歩く
骨を丈夫にするには、カルシウムだけでなく、良質なタンパク質と適度な運動で「体内コラーゲンを作る力」をつけること。
ぜひ生活に取り入れて、年齢に負けない柔軟性と耐久性のある骨を目指しましょう。